『池の水全部抜く』捕獲した外来種やヘドロはその後どうなる?

その他

こんにちは。

テレビ東京の人気番組で『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』という番組がありますよね。

池や城のお堀の水を抜いて、ゴミやヘドロや外来種を捕獲してきれいにするという番組なんですが、単純な疑問で回収されたヘドロや外来種ってその後どうなるのか気になりませんか?

大量の泥はその後どうやって処分するのか?

外来種だからと言って捕獲した大量の魚の行く先はどうなるのか?

気になったので調べてみました。

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『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』とは?

『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』とは全国の手つかずの池や城のお堀なんかの水を抜いて、芸能人らが池の中の魚を捕獲したりゴミを集めたりして、最終的に新しい水に入れ替えるという番組です。

そもそも『緊急SOS!池の水全部抜く大作戦』の本来の目的は、

・水質を良くする
・投棄されたゴミを取り除く
・本来の生き物の生態系を取り戻す
・自然環境や生態系を考え、マナーを守るきっかけを作る

だと思います。

しかし、近年は外来種駆除や池の底に眠っていたお宝発見!のようなコンセプトをメインに取り上げられていることが多いように見受けられます。

外来種や在来種に関しては、外来種に対しては悪のイメージを誇張していたり、巨大なカミツキガメや魚を見つけたときは「大物モンスター」、在来種を発見したときは「レア生物発見⁉」のようにハンティングゲームをしているかのごとく取り上げられています。

水を抜いた後って本来なかなか見ることができないですし、色々な生物が発見できるのは面白いですよね。

水の底にお宝が眠っているとしたら番組的にも盛り上がりますし、このように取り上げると子供の目を引くんじゃないでしょうか?

しかし、このような取り上げ方に賛否両論あるようですね。

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なぜ水を抜く必要があるのか?

全国の公園の池や城のお堀なんかは人間が作ったものですが、そのままメンテナンスなどせずに放置して野生化してしまった所が数多くあります。

その中で生態系に悪影響を及ぼす外来種が増えてしまって、日本に元々住んでいた在来種が捕食されて絶滅危惧種に指定されているものが更に減ってしまっていたり、ゴミを不法投棄する人が増えて水質汚染に繋がっています。

生態系に悪影響をおよぼす外来種駆除し、生態系を復活させることをの手段のひとつとして、水抜きをして生き物を捕獲する「かいぼり」があります。

かいぼりは、そもそも農業用の「ため池」の維持管理方法で、冬場の農閑期にため池の水を抜いて天日干しすることをいいます。

池底を掘り返して干すことで、土中の窒素は空気中に発散され、リンは水に溶け出しにくく変化します。つまり水中の余分な養分が減ることで、水質が改善されます。

また、水を抜くことで水漏れやひび割れがないかなどのチェックもできますし、岸をコンクリートで固めた池や堀だと定期的な水の入れ替えができません。

昔、稲作用にたくさん作られたため池は洪水が来るたびに池に溜まった泥が掻き出され、水の入れ替えが起こっていました。

池の水を抜くということは、溜まった泥を掻き出して生物の生息域を拡げたり、水質改善になるのです。

かいぼりの正しい方法

①池の水を抜く
②水が少なくなってきたら、生き物を捕獲する
③捕獲した生物を在来種と外来種に分ける
④さらに水を抜き天日干しする
⑤池の水を戻す
⑥在来種を再放流する

という作業になります。

作業自体は単純ですが、かなり時間がかかります。

①の池の水を抜くには数日間かかりますし、②生き物の捕獲や③の仕分け作業はたくさんの人手が必要です。
さらに④⑤の間、在来種は飼育保管しなければなりません。

定期的にかいぼり作業をしている井の頭池では④の天日干しは2カ月するようです。

これにより水質が改善され、泥の中で生き残った生物は干されます。

⑤の水を戻す作業ではまた数日間の時間を費やし、⑥で飼育保管されていた在来種放流でやっと作業が終わります。

とてもテレビ番組で見るだけでは分からないような膨大な作業と手間がかかっていますね。

ちゃんとしたかいぼり作業はこのようになっていますが、番組のかいぼり作業はどのくらいの時間をかけているのでしょうかね?

また、かいぼりは一過性のものではなく、定期的に取り組んでいく必要があるようです。

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池の水を抜いた後捕獲した外来種やヘドロはどうなる?

ここで疑問なのが、掻き出した泥や外来種はどうしているのかということです。

テレビ番組でもその後の話って出てきませんよね。

捕獲した外来種のその後

在来種は元の池に戻されますが、外来種の大半は残念ながら処分されてしまいます。

ただ、一部の生物については、大学の研究所に寄付されたり、飼育施設などに引き取られたりしているようです。

外来種の大半は殺処分させられた後に処理施設で焼却し、魚粉にすることが多いそうです。

外来種から作られた魚粉が使われているのかは不明ですが、魚粉の使い道として肥料・養鶏や養殖の飼料・ペット用のエサなどに使用されています。

くみ上げた泥のその後

汲み上げた大量の泥は産業廃棄物として業者に引き取られます。

汚泥の適正処理は、汚泥の性状・含有物・性質によって処理方法が異なるものの、脱水、乾燥、燃焼し、リサイクルできそうなものは発酵して堆肥化したり、固めて再生砕石にリサイクルされます

重金属が含まれている等リサイクルできないものは焼却、溶融、固形して埋め立てるそうです。

汲み上げた水のその後と池に戻す水は?

汲み上げた水は用水路や下水道を通り、下水処理施設にてきれいにされ、最終的に川や海に流されます。

池に戻す水は池に戻す水は水道水を利用し、2~3日放置してカルキを抜いた後、保護していた魚を放流する手順で行われているようです。

無造作に捨てられるわけではなく、ちゃんとリサイクルされていたり、処理して自然に返されていて安心しました。

しかし本来何の罪もない魚や亀が外来種というだけで大量に殺処分されるのは良くないですよね。

もとはと言えば外来種も人間の都合で池に放されたわけですから。

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池の水を抜いた池はその後どうなった?

池の水を抜いた池のその後がどうなったかの放送ってされていませんよね?

実際に番組で水を抜いた池がその後どうなったかというと、成功した例もあれば失敗した例もあるようです。

池の水を抜いた池はその後:成功例

2017年6月25日に放送の千葉県・藤崎森林公園の池は番組で水を抜いた結果、水が綺麗になったことによって、以前生息していたカワセミが水がかえってきたようです。

池の水を抜いた池はその後:失敗例

2018年の放送では岐阜県羽島郡笠松町の木曽川河畔のトンボ池で、目的の外来魚駆除の際、主催者側の対応が十分でなく、在来魚が大量死するという不祥事が起こっています。

多くの一般人との参加や、事前にリハーサルなどができないロケのため予想だにしない出来事が起きたりすることがよくあるそうです。

水槽の容器が足りず、魚が酸欠になり弱ったり死んだりしてたという情報もありました。

手探り状態でロケをするのではなく、事前にしっかりとした打ち合わせや専門家の指示の元撮影しないと本末転倒になってしまいます。

井の頭公園の池のかいぼり例

番組とは関係なく、定期的にかいぼりを行っている井の頭池では水質が悪かったときには池の底まで届かなかった日光が、水質が改善されて届くようになり、絶滅危惧種の水草イノカシラフラスコモは約60年ぶりに復活しました。

同じく2019年の初夏には、同じく絶滅危惧種水草であるツツイトモが大繁殖し、水草が繁茂した井の頭池の様子は、「まるでモネの油彩画のようだ」と、SNSを中心に大きな話題になりました。

もともとカイツブリが食べていたモツゴやスジエビといった在来生物も増えてきたのか、子育てがうまくできなくなり姿を消していたカイツブリの姿も見られるようになったそうです。(引用元:https://nature-and-science.jp/

このように正しいやり方でかいぼりを行うと水質改善され、本来の日本にあった生態系が守られます。

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まとめ

池の水を抜いた後捕獲した外来種やヘドロはどうなる?

①外来種

一部の生物については、大学の研究所に寄付されたり、飼育施設などに引き取られたりしているが、大半は処理施設で処分され、魚粉になる。
魚粉の使い道として肥料・養鶏や養殖の飼料・ペット用のエサなどに使用される。

②大量の泥

汲み上げられた大量の泥は産業廃棄物として処理される。
汚泥の適正処理は、汚泥の性状・含有物・性質によって処理方法が異なるものの、脱水、乾燥、燃焼し、リサイクルできそうなものは発酵して堆肥化したり、固めて再生砕石にリサイクルされる。

重金属が含まれている等リサイクルできないものは焼却、溶融、固形して埋め立てる。

③汲み上げた水のその後と池に戻す水は?

汲み上げた水は用水路や下水道を通り、下水処理施設にてきれいにされ、最終的に川や海に流される。池に戻す水は池に戻す水は水道水を利用し、2~3日放置してカルキを抜いた後、保護していた魚を放流する。

番組としては面白いものを作りたい、視聴率が取りたいという思いがあるのは分かりますが、一歩間違えば生物の大量虐殺となりかねないことを頭に置いてしっかりとした指導の下でロケを行って欲しいですね。

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