こんにちは。
よく漫画やアニメで水の上を走ることができる能力をもつキャラクターがいますよね?
あれって実際に、普通の人間が走るとすると、どのくらいの速度で足を動かせば走れるのか気になったことはありませんか?
よく言われるのは「片足が沈む前にもう片方を前に出せば沈まずに走れる。」と聞くのですが、そんなことは可能なのでしょうか?
実際の動物を参考に人間に当てはめて考えてみましょう。
水上を走ることができる動物たち
①バジリスク
水上を駆け抜ける動物で有名なのが、バジリスクというトカゲです。
決して漫画やアニメの方じゃありません。
バジリスクは主に南アメリカ大陸の南部に生息していて、全長60~80センチ。体重は約300グラムぐらいのトカゲ亜目に属する生物です。
また、南米では聖書にイエス・キリストが水の上を歩いたと記されていることから、「The Jesus Lizard(キリストトカゲ)」と呼ばれることがあるそう。
水辺の森林に生息しており、泳ぎや潜水もうまく、驚くと後ろ足だけで立ち上がり水上を走って逃げたりします。
まさに「水中に片足が沈む前にもう片方を出して進む」という方法です。
その速度は1秒間に20歩もの速さで踏み込み、水上を走っているそうです。(人間に例えると時速106㎞)
彼らが水上を走れる秘密は足の指がフリンジ状態になっており、これで水面を叩く力を強化すると同時に、ストローク時にエアポケットを作り、下に引っ張られる力を軽減しているようです。
中型から大型の一般的なバシリスクの場合、体を支える力の大部分を、水面を叩くことに相対峙するこのストロークから得ています。
水面を走る際にバシャバシャしたときに受ける上向きの力は、「水面を叩いた時」と「水中のストローク時」に得られます。
そして足を引き抜くときにバジリスクみたいにエアポケットが崩れる前に水面上に足を持ち上げると抵抗を最小限に抑えることができるらしいです。
しかし、水上走行するもっとも大型の動物は水面を叩く力の方から、より多くの力を得ているようです。
例えるなら、高速で水面に叩きつけられると水面がコンクリートと同じ固さになるのと同じ原理でしょうか。
それってめちゃくちゃ高速で足を叩きつけなければいけませんよね。走る前に足がヤバいことになりそうですね・・・
②カイツブリ
北米で見られるクビナガカイツブリとクラークカイツブリは、春の繁殖シーズンになると「水上ダッシュ」を見せます。
パートナーを魅了して関係を維持するために、オスもメスも一緒に水の上を走らなければなりません。
2羽、あるいはそれ以上の集団で動きを合わせ、約7秒間、最長で20メートルも水上を疾走し、水上を歩く能力を持つ脊椎動物としては最大です。
米国の研究チームによると、カイツブリが重力をものともしない秘密は、1秒間に最高20回にものぼる速い歩数と、指を広げた足で水面を強く打つ力、そして奇妙な足の運びの合わせ技にあることが明らかになったそうです。
カイツブリは、走る際にまず足の指を大きく広げて水面をたたきます。
これで、水に沈まないために必要な力の30~55%が生み出され、残りは水面下で水をかくことで生み出されています。
次に水から引き上げた足の先を体の外側に向け、弧を描きながら前向きに戻し、また水面をたたく。この動作が繰り返されています。
例えるなら、バレエダンサーが完全にターンアウト(脚を横に開く姿勢)をして、耳の高さまで脚を上げるような感じでしょうか。
優雅だけど、私はそんなに足開けません。
しかし、カイツブリがなぜ足を外側に向けるのかはまだ分かっていないといいます。
水面下で何らかの動きをしていて、その結果として水上からは不安定な足の運びに見えるのかもしれません。
ちなみに、アメンボとか水に浮く小動物とかはどうなのなってんの?って思いますよね?
彼らは表面張力を利用しています。
アメンボや、ある種のクモのような節足動物には、たくさんある長い足の裏に細かな毛が生えていて、水を弾きます。
そのおかげで、身体のどの部分も水を突き破ることはなく、文字通り水の上に立つことができます。
でもこの方法は、重さ1グラム未満の動物にしか使えず、それ以上の重さであれば、表面張力では支えきれないのです。浮くことはできますが、立ったり歩いたりはできません。
人間が水の上を走る速度はどのくらい必要?
人間が水の上を走るためには、走るスピードだけでなく、それ以上に水面を垂直に力強く蹴るパワーと技術が要るということが分かりましたが、実際に人間にその数値を当てはめてみるとどのくらいの数値になるのでしょうか?
研究者たちが実際に算出した所、体重80㎏の人で毎秒4回、秒速30m、分速1800m、時速108㎞で水面を下に蹴る必要があることがわかりました。
この数値は標準の人間の足の筋肉が出せる最大値の15倍です。
ちなみに空手家の前蹴りの速度は時速36~52㎞らしく、水中で空手家の倍以上の速度で毎秒4回以上蹴らないと水面を走れません。
現実的な速度に抑えたとしても、秒速10メートルは必要で、足には1平方メートルの連続した面がなくてはなりません。
こうなるともはや早くは走れませんし、そもそもそんなに大きな靴を履いては走れません。
やはり人間が水の上を走ることは不可能なのか・・・
人間が水の上を走ることができる方法とは
2012年に『PLOS ONE』(プロスワン)という科学雑誌で、ある実験結果が発表されました。
それは小型のフィンを足に装着した人間を、プール上にハーネスで吊るし、低引力を再現してみました。すると、地球上の10%の引力であれば、すべての被検者たちが少なくとも7秒間は水面上に留まることができたのです。
ちなみに引力の最高値は、被検者1人が水上走行が可能であった22%でした。
ということは地球の17%しか引力のない月面上での水上走行は、理論上は可能ということになります。
月では毎秒3歩、時速10㎞で蹴ることで水上走行可能です。
まとめ
・水上を走ることができる動物たちは?
①バジリスク
②カイツブリ
いずれも水に沈まないために1秒間に20回にものぼる速い歩数と、指を広げた足で水面を強く打つ力で沈まないように走っていた。
・人間が水の上を走る速度はどのくらい必要?
体重80㎏の人で毎秒4回、秒速30m、分速1800m、時速108㎞で水面を下に蹴る必要がある。
空手家の前蹴りの速度は時速36~52㎞で、水中で空手家の倍以上の速度で毎秒4回以上蹴らないと水面を走れない。
現実的な速度に抑えたとしても、秒速10メートルは必要で、足には1平方メートルの連続した面がなくてはいけない。
・人間が水の上を走ることができる方法とは
空手家の倍以上の速度で毎秒4回以上水面を蹴る。(普通の人が継続的に出せるパワーの15倍)
引力の関係で月では毎秒3歩、時速10㎞で蹴ることで水上走行可能。
もし、水の上を走りたかったら月に行こう!
以上、ataruでした。
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