こんにちは!ataruです。みなさん、桃太郎のお話は知っていますか?
筆者が子供の頃は、桃から生まれた桃太郎が鬼退治に行くというストーリーでしたが、現在その桃太郎のお話が進化しているらしいのです。
今日は絵本桃太郎の現代版ストーリーについて調べてみましたよ。
一般的な桃太郎のお話のあらすじ
知らない人のために一般的に知られている桃太郎のあらすじを紹介しますね。
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしていました。
おじいさんは山へしば刈りに。おばあさんは川へ洗濯に行きました。
すると、川の上流から大きな桃が流れてきました。おばあさんは桃を家に持ち帰り、割ってみると、中から男の子が出てきました。
男の子は桃から出てきたので桃太郎と名付け、大切に育てられました。ある日桃太郎は鬼ヶ島の鬼の悪い噂を聞き、鬼退治に出かけることにします。
おじいさんから袴や剣をもらい、おばあさんからきび団子をもらい鬼退治に出かけます。途中、サル・キジ・イヌに出会い、キビ団子をあげる代わりに鬼退治のお供に連れていきます。
鬼ヶ島に到着し、いざ鬼と対決します。
サル・キジ・イヌと共に見事勝利し、桃太郎はお礼に貰った宝物を家に持ち帰り、村のみんなに分けてあげます。その後おじいさん、おばあさんと幸せに暮らしました。
というのが一般的に知られているお話です。
しかし、ここ数年そのお話が変化してきているというのです。
現代版桃太郎その①
まず一つ目に紹介するのが『ももたろう』。題名は同じですが、中のストーリーが若干リメイクされています。
どこがどのように変わったのか見てみましょう。
サル・キジ・イヌは主従関係ではない。
桃太郎がサル・キジ・イヌにキビ団子をあげる代わりに桃太郎の家来になるという設定でしたが、現代版はこうなっています。
さるもやってきました。「ぼくもいくよ。」「本当かい?じゃあ、力がつくきびだんごをあげるよ。なかまがふえてうれしいなあ。」
昔のストーリーでは、3匹ともキビ団子欲しさに桃太郎と主従関係になっていましたが、現代版では上下関係はなく、フラットな関係です。決して食べ物に釣られたわけではなく、あくまで自発的に鬼退治を希望するスタイルとなっています。
昔は重要アイテムだったキビ団子も、現代版では栄養補給アイテムとなっています。
鬼ヶ島まで交代で舟をこぐ。
鬼退治に行く際、船にのって鬼ヶ島に行くシーンがあります。
そこで桃太郎はサルとイヌに舟を漕がせるという、きつい仕事をさせています。
しかし、現代版ではこう書かれています。
いぬとさると ももたろうが こうたいで こいだので、小ぶねは ぐんぐん すすみます。
イヌとサルだけがしんどい思いをしないように桃太郎も参加して、ローテーションで船を漕いでいます。(キジは自力で飛ぶのでノーカウント。)
そして鬼ヶ島に着き、鬼との対決が始まるのですが、昔の桃太郎の話ではキジが鬼の目を突く必殺技があるのですが、現代版では失明の恐れがあるため、攻撃は手をつつく程度に収めています。
持ち帰った宝は持ち主に返す。
無事に鬼に勝利し宝を持ち帰った桃太郎ですが、宝を自分たちのものにすると横領罪になるため、きちんと持ち主に返しています。
ももたろうたちは たからを もちかえると、一つずつ もちぬしの ところへ かえしました。
王道ヒーロー物語がかなりマイルドになった印象。
昔の話の中で出てくる『おばあさんが作った日本一のキビ団子』は「これさえあればどんな動物でも仲間にできる超レアリティ万能アイテム!」って感じでしたが、現代版では食糧アイテムって感じになっていますし、キジの必殺技も封印されてしまい、昔の桃太郎を知っている筆者としては少し味気ないというか、ワクワクドキドキ感が薄れてしまった印象です。
現代版桃太郎その②
続いてこちら。『桃太郎が語る桃太郎』。この話は常に桃太郎の一人称視点でストーリーが進んでいきます。
一人称視点の桃太郎
一般的な物語は「おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。」と、「誰が〇〇した。」と作者の視点(第三視点)で物語が進んでいますが、この絵本は桃太郎が「ぼくは○○だった。こう思った。」という、自分(一人称)視点で話が進んでいきます。
すぅーっといきをすいこむと、あまくてやさしい、いいにおい。
ぼくは生まれる前、大きな桃の中にいました。
物語はまだ桃の中にいる状態の桃太郎の視点から始まります。もうすでに斬新。
おじいさんとおばあさんに鬼退治に行くことを三日三晩説得する。
ぼくはふたりを三日三ばんせっとくしました。
ぶじに帰ってくると百回も約束し、ようやくたいじをゆるしてもらったのです。
昔の桃太郎ではここら辺はサラッと書き流されている感じですが、現代版では、おじいさんとおばあさんは桃太郎のことがとても心配で反対したことや、それに対して桃太郎の意思も固く、三日三晩説得したり、帰りの無事を百回も約束するなど細かい描写が書かれています。
鬼退治では恐怖で足がすくむ。
ぼくは刀をぬきました。
でもどういうわけか、足が前にうごきません。
ぼくはいつの間にか、ふるえていました。
ぼくは鬼がこわいと思いました。
この辺も昔の桃太郎では仲間と共に果敢に鬼に挑んでいく風に書かれていますが、現代版だと実際はとても怖かったという心情が読み取れますね。
なんだかめちゃくちゃ感想文や日記を読んでいる気分になります。
読み終わってからが始まり。
この、『桃太郎が語る桃太郎』では、その場面の人物の気持ちがわかるだけでなく、自分が桃太郎だったらどうなるか?自分がおじいさんやおばあさんだったら?サル・キジ・イヌだったら?と、それぞれの視点から物語や気持ちを考えることができるのが特徴です。
子供に教えにくい「自分ならこのときどう感じた?」「相手の立場になってどう感じた?」がこの絵本で培われそうですね。
現代版桃太郎その③
続いてこちら。こちらは普通の私たちが知っている昔ながらのストーリーと、鬼の子として育てられた桃太郎のストーリーが存在します。
鬼退治の桃太郎と鬼の子の桃太郎。
この絵本はジャバラになっており、2つのストーリーが読めます。
一つは鬼退治の桃太郎のストーリー。
もう一方は、おばあさんに桃が拾われずに鬼ヶ島に流れ着き、鬼に育てられた桃太郎のストーリーとなっています。
2人の桃太郎がそれぞれ別々の環境で育ち成長していきます。
鬼退治の桃太郎は努力家
昔の桃太郎は最初から強かった感じですが、この絵本の鬼退治の桃太郎はちゃんと強くなるために修行を積んでいます。
天才的な強さではなく、おじいさん、おばあさんを守るために鬼退治に行く。→そのために強くならなければいけない。→修行し、努力した結果強くなったという工程があります。
天才的な強さのヒーロータイプというより、コツコツと努力を続けて確実に強くなるといった感じの桃太郎ですね。
キビ団子はお礼として渡す。
『ふたりのももたろう』の鬼退治の桃太郎は、サル・キジ・イヌに手伝ってくれたお礼としてキビ団子を渡しています。
ではなぜサル・キジ・イヌは桃太郎を手伝ったのか?
それは桃太郎が修行して頑張っている姿を見て、手伝いたいと思ったからという理由です。
こちらも団子で釣るのではなく、やはり自らの意思で仲間になった3匹と、桃太郎の努力はちゃんと誰かに見られていたという構図にアレンジされています。
鬼の子の桃太郎では鬼ヶ島ではなく、「にじがしま」という名前になっている。
鬼に育てられた方の桃太郎のストーリーでは完全にオリジナルストーリーで、島の名前が鬼ヶ島ではなく、みんなの「スキ」が集まった、「にじがしま」という島になっており、多様性が尊重される世界観になっています。
鬼と見た目が違う桃太郎は自分を嘆きますが、「見た目が違ってもいいじゃないか。」と鬼は慰めます。
この世界の鬼は見た目やそれぞれの好みが違っても気にしません。そして、鬼の子桃太郎も自分らしさや違いを大切にします。
2人の桃太郎が出会うとき。
最後は二人の桃太郎が出会います。
鬼退治の桃太郎は鬼は悪者。鬼の子桃太郎は鬼が好き。二人の考えは違うが、どちらも正しい。
本の最後には、それを理解したうえでどうやったら二人は仲良くなれるか?という疑問を投げかけて物語が終わっています。
答えのない問いの中に多様性が培われていきそうですね。
現代版桃太郎その④おまけ。笑本。
最後におまけの紹介です。
この絵のタッチに見覚えのある方がいるかもしれません。
作者は『ガタロー☆マン』です。
はい。そうです。知っている人は知っている、『漫☆画太郎』先生です。
心なしか、イラストも色使いも子供向けにソフトタッチになっています。
気になる中身は…
おじいさんとおばあさんが登場するだけなのにこのハイテンションぶり!
次のページをめくると・・・
どんぶらこ、どんぶらこと、ながれてき・・・・・・・
もうオチが分かっていると思いますが、次のページをめくりたくてしょうがないですよね。
こんな感じでテンポよく進んでいきます。
絵本を笑本に。
気になる方はこちらもいかがでしょうか。
まとめ
昔は強くて勇敢な桃太郎を求められていました。教訓も「悪いことをしたら罰を受ける」と、分かりやすかった気がします。
今は優しさや多様性をテーマにアレンジされた桃太郎も出てきていることから、時代の移り変わりと共に求められる能力も変わってきており、絵本も同時に少しずつストーリーが変わってきているようです。
しかし、いつの時代も親子で楽しく絵本を読むことは変わらないで欲しいと思うのでした。
コメント