大学入試共通テスト(旧センター試験)は誰が作っているのか?面白い珍問題の紹介など

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こんにちは。ataruです。
先日の1月13日(土),14日(日)にかけて2024年度(令和5年度)の大学入試共通テストが実施されました。受験された受験生の皆様はお疲れ様でした。また、今年度の国公立大学の2次試験への出願期限は2月2日までです。受験生の皆様は2次試験に向けて最後の追い込みを頑張ってください。

今年(2024年度)の共通テストは全国で約49万人の方が受験されたようです。毎年、この季節(1月中旬)になると共通テストの話題でニュース記事が多くなりますね。

今年の問題はどのような傾向だったのか?平均点や難易度はどうだったのか?などに加えて最近では共通テストの英語のイラストが怖い…という話もよく聞きますね。やっぱり今年の試験でもイラストの黒目が怖い…トラウマになる…といった声がありました。

2024年度の共通テストより引用:英語の問題で使われたイラスト抜粋

色々な共通テストに関する記事を見ていたのですがふと…そもそもこの試験って誰がどうやって作っているんだっけ??…と気になりましたので調べてみることにしました。雑学的な知識として知っていただけると幸いです。

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大学入試共通テスト(旧センター試験)とは?

まず、そもそも「大学入試共通テストとは何か?」を簡単に解説しておきます。
A:簡単に一言で言うと、日本の大学(主に国公立大学)を受験するために必要な試験で、全国の受験生が一斉に受験する試験のことを言います。

※2019年度まで「大学入試センター試験」と呼ばれていましたが、2020年度からは「大学入学共通テスト」に名前が変わりました。

日本には数多くの大学がありますが、基本的に国公立大学と呼ばれる大学(例:東京大学、大阪大学など)を受験するためには、まずこの「大学入試共通テスト」を受けることが必要です。

国公立大学の入試の合否は基本的に1月に行われる「共通テストの点数」+2月~3月に行われる「大学ごとに個別に行われる試験(2次試験)」の合計点で決まりますので、共通テストは大学受験に向けて極めて重要な「1次試験である※」と言ってよいでしょう。

※近年は総合型選抜試験(通称:AO入試)といって、共通テストのような学力試験だけで合否を決めるのではなく、スポーツや芸術、課外活動など学力以外の業績や本人の人格(面接試験)を重視して選考する大学も多くあります。しかし、大部分の受験生は一般受験で受験しますので、共通テストの結果が非常に重要になってきます。

また、国公立大学だけでなく私立大学(例:早稲田や慶応大学など)でも「大学入学共通テスト利用入試」と言って、共通テストの試験結果をもって合否が判定される出願方法をとることができる大学も多く存在しています。

共通テストは全国大学教員、約400名~700名が協力して作っている

Q:共通テストはどこの誰が、どのように作っているのでしょうか?
A:結論から言うと、共通テストは独立行政法人の「大学入試センター」という組織が運営、作成をしています。

上記の大学入試センターが公開している資料によると、問題作成は「試験問題」を作るグループ「問題のチェック」をするグループなど、幾つかのグループに分かれて分業制で作業をしており、問題文の作成・完成までには約2年という時間をかけて作っている。…という情報がありました。グループのメンバーは主に全国の大学教員から構成されてる。…とのことでした。

また、当然ながら問題文の情報漏洩(ろうえい)に対するリスク管理は徹底されていて、
問題作成に関する作業は同施設の特定の建物内でのみしか行えず、情報機器類(パソコンやスマートフォン等)の持ち込み、持ち出しは当然禁止。自分が問題作成に携わっていることを外部(家族も含む)に言うことも許されません。※仮に問題が漏洩した場合に備えて予備用の試験問題も並行して作成するという徹底ぶりです。

また、問題は難しすぎても簡単すぎてもいけません。平均点数が60点前後になるように調整して作る必要があります。(問題を作る側にとっては、ここが一番難しいかもしれません)

問題に関する誤記、出題ミスも許されません。共通テストはマークシート方式なので正解となる選択は必ず1つにする必要があります。選択肢が2つ以上ある、または1つも無い問題がないように徹底的にチェックされて作られています。

…めちゃくちゃ神経を使う作業ですね。

引用:読売新聞社の記事より。

問題文は本試験用、再試験用、追試用に加えて予備用で「4パターン」必要。

共通テストは受験生にとっては基本的に1発勝負ですが、場合によっては再試験追試を受けることが出来ることになっています。

追試とは、何らかの理由で本番当日に受験できなかった場合にあらかじめ決められた別日程で試験を受けられる制度です。例えば、試験当日に高熱が出てしまった…といった場合に申請すれば追試験を受けることが出来ます。当然ですが、問題は本試験とは完全に別で用意されています。

また細かい話ですが、追試験とは別で再試験と呼ばれるものもあります。
再試験とは、例えば試験会場や運営側のミスにより試験が正しく受けれなかった場合に行われます。※こちらも問題文は本試験、追試験とは別もの。

再試験のよくある例が試験監督が時間を間違えていて、試験時間が本来の時間より短かった…ことがよくあります。2024年度の共通試験でも、大阪人間科学大学庄屋学舎の試験場で47人が地理歴史、公民で15秒程度の時間不足のため再試験扱いになりました。

たった15秒で?…とも思ったりしますが、受験生にとってはこの時間(15秒)があれば、問題を1or2問解ける可能性があります。その結果、得点が1,2点違うだけで大学受験の合否を分ける可能性がありますので非常に重要です。

毎年、約50万人前後が受験する試験を作るのは大変。

毎年50万人もの人が受験する共通テストですが、これだけ受験生が多いとテストを作る方も大変ですね。学校の先生が期末試験を作るのとは訳が違います。

本試験用に加えて、追試/再試験用、さらに予備用(万が一、問題が事前に漏洩してしまったときの緊急用)で毎年常に複数パターンの試験問題を準備するのは大変な労力です。

そんなめちゃくちゃ重要な共通テストなのですが…当然人間が作成している以上は100%完璧というものでありません。過去には出題ミスも幾つかあります。

出題ミスがあるとどうなるの?…と気になる方が多いと思います。一言に出題ミスといっても色々なパターンがあるのですが、例えば問題に対する回答が選択肢に無い、または回答が2個以上ある場合は、その問題は基本的に全員正解という扱いになるそうです。

実際に2020年1月18日に行われた大学入試センター試験(共通テストに代わる最後の年)では、世界史の問題で4択のうち、問題文の記述方が曖昧だったため回答が1つ絞れない…とのことで=全員正解の扱いになりました。2020年に全員正解の扱いになったのは1997年の日本史A以来で23年ぶり3回目でした。

逆に言うと1997年から23年間もの間、全員正解としなければいけないような問題(ミス)が1度も発生してなかったということは、作成者側からすれば凄い努力の結果だとも言えますね。

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おまけ。23年ぶりに発生した問題ミス。2020年の世界史B試験。

どの様な問題ミスだったのか?気になる人が居ると思いますので最後に少しご紹介します。
まず説明文がこちらです。(2020年センター試験、世界史B 第1問の問5より)

引用:2020年大学入試センター試験、世界史Bの問題より抜粋

■上記の説明文に関する問題が下です。下線部⑤=その時々の支配体制の「制度や政策」について正しいものを1つ選びなさい。…という問題でした。

引用:2020年大学入試センター試験、世界史Bの問題より抜粋

回答は①=魏で屯田制(とんでんせい)がが実施された。が正解になります。
「屯田制」というのは、簡単に言うと国が未開拓の農地を民に与えて、そこで作らせた農産物を国に納めさせた制度のことです。三国志時代の魏で始まったとされています。

なので、①=魏で「屯田制」が実施されたが正解になります。え?一見するとこれがなぜ問題ミスなの?と思うかもしれませんが、実は「魏」という国は中国の歴史上では複数存在しています。

1.三国志時代の魏(220年 – 265年)
2.戦国時代の魏(前403年〜前221年) …のように同じ魏でも2パターンある。

三国志時代の魏を対象にすると、回答は①=魏で「屯田制」が実施されたは100%正しいのですが、三国志時代の魏なのか?、戦国時代の魏なのか?問題文からは読み取れない。という指摘が受験生からありました。結果、大学入試センター側はこの指摘を受けて問題側にミスがあったとなり全員正解扱いとしました。

…そこまで書かなくても屯田制=三国志時代の魏で解釈すべき…という声もあると思うのですが、公平性を重視する試験だからこそ、このような曖昧性がないか?までチェックする必要があるということですね。あらためて問題作成者側はとても大変だと感じますね。以上、ataruでした。最後までお読みいただきありがとうございます。

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